xv6のページングについてまとめておきたい。 カーネルmain関数では、ページテーブルやページディレクトリの初期化が2度行われる。
1度目のページング機構の初期化は、 仮想アドレスの下位4MB 0x0 ~ 0x400000 をそのまま物理アドレス 0x0 ~ 0x400000 にマッピングする。 また、0x80000000をオフセットとした仮想アドレス 0x80000000 ~ 0x80400000 についても、 同じく物理アドレス 0x0 ~ 0x400000 にマッピングする。 このページングはカーネル初期化時にのみ利用される。 CR4のPage Size Extension(4bit目)を有効にすることで、 ページサイズを4MBに拡張している(スーパーページ)。 スーパーページでは、ページテーブルは利用せずページディレクトリだけを使う。 仮想アドレスの上位10ビットがページディレクトリのインデックス、 下位10ビットが4MBページ内のオフセットに対応する。 つまり、1段のページング。 kinit1関数では、カーネルの終端から4MB(0x801154a8 ~ 0x80400000)のページに対してkfreeを実行し、 freelist(空きメモリをつなげたlinked list)に繋いでいく。
続いて、2度目の初期化では、 4MBを超える仮想アドレスを対象としている。 こちらは、スーパーページは使わないので、ページサイズは4KBのままで、 ページディレクトリとページテーブルのどちらも使う。つまり、2段のページング。 kinit2関数で、0x80400000 ~ 0x8e000000のページをfreelistに繋ぐ。
今回は、2度目の初期化のところでバグがあったため、
kinit2内で不正なアドレスに書き込みを行っていた。
2段のページング機構でのページウォークを見直して、解決した。
CR3の上位20bitがページディレクトリのベース物理アドレスを指しているが、
そのアドレスはCR3 >> 20
ではなくCR3 & 0xFFFFF000
であることに注意する。
ページディレクトリエントリについても同様のことが言える。
つまり、ページディレクトリやページテーブルは4KBでアライメントされている。